2014年2月18日火曜日

正義

深夜にご飯を食べながらいつものようにDVDを見ているとお父さんがリビングに降りて来た。いつものごとく寝れなくなって降りて来たのか、と聞くと明日会社をやめてくるという。一瞬耳を疑っくてもう一度聞くと、退職届けを持ち出した。 こないだ僕に話していたことで、どうやら会社から連絡があったみたいだ。 うちの父は結構いい年で、昔は自営業の15年くらい前からタクシーの運転手になった。だからそんなに年金は多い訳ではなく、それだけの理由じゃないけど、今もしっかり働いている。もう引退も出来る年齢だけど。 どうやらお客さんにケチをつけられて会社に電話が言ったらしい。が、うちのお父さんは謝らない気でいる。 正義のある人だから。間違ってることには間違ってるって言わなきゃ世の中は変わらないから。謝らない気でいる。 謝るくらいなら自分から会社をやめて正義をつらぬくつもりみたいだ。 果たして明日どうなるんだろう? 退職届けの文章を少し見せてもらった。 父は一度、乗ったお客さんに急いでくださいと言われ急いだ時にカーブを曲がったところで小さな子供が飛び込んで来てひきそうになって、もう今度こそだめだと思う瞬間があり、でもひいたような音はしてなくておそるおそる車を出ると、うずくまってしゃがみこんだその小さな子がいて、その時に初めて神様がいるんだって思って涙がとまらなかったそうです。それ以来、絶対に尊い命は大事にしようと安全運転を心がけてきました。どんなにお客さんに急かされようと。いちゃもんつけられようと。絶対に曲げない。 僕はほんとうにそういうことに関して父に頭が上がらない。 日本中がそういうプレッシャーに押されながら今日も急いで生きている、でも急いじゃ駄目なんだ、あのJR宝塚で108人の人が亡くなったのもそれが原因で、絶対もうそんなことしちゃだめなんだって。 自分の正義を貫こうとしている。 僕は悔しいな。その時に乗ったお客さん、こないだの雪の日に急いでくれ、と言って、いや危ないですからと言ってことわった安全運転をした父をおどしてセンターに電話をかけて、だってその時急いでしまったために車がスリップして誰かをひき殺す可能性だってあったかもしれないのに。その電話っていうのも謝らせるための電話なの?ほんとうに狂ってるよおかしいよ。 僕の父はエネルギーが人一倍あるから次の職業も退職となったら探すつもりでいるみたいでけど、結構いい年だからこれから再就職なんてきついに違いないよ。悔しくてしょうがない。